後藤和智事務所OffLine サークルブログ

同人サークル「後藤和智事務所OffLine」のサークル情報に関するブログです。旧ブログはこちら。> http://ameblo.jp/kazutomogoto/

【雑記】まことにChldishな……(2020.04.28)

 アカウント名に違わぬまことにChildish(子供っぽい)発言である。《女性議員の評判を女性議員自らが陥れている》と書くが、そもそも、男性議員による不祥事が相次いだところで「男性議員の評判を女性議員自らが陥れている」と書かれるか?差別意識というのはこういうところに現れるんですよ、先生。

確かに「自民党」「国民民主党」(あるいは「立憲民主党」「日本共産党」「大阪維新の会」とかでもいいけど)の議員の不祥事とかが相次いでいるんだったら何らかの構造的問題を見出すことができるかもしれないが、今回の件については不祥事が相次いで明らかになったのが「たまたま」女性だったという話で、《女性議員の評判を女性議員自らが陥れている》というのはむしろこの書き手が「だから女性に政治は駄目なんだ」みたいに読み手に思わせたいからではないか?

【雑記】「口では「口では貧困家庭の子どもには優しい東大の先生」よりも貧困家庭の子供に優しいライター」がやるべきこと(2020.04.16)

なんというか、「結果的に」と言えばどんな無理も通せるとでも思っているようなツイートを見た。ロスジェネ論の論客たるもの、「エリート」にはいちいち難癖を付けないとでも思っているのかしら(この人は最近は鉄道とかで活躍しているけど、10年くらい前はロスジェネ論の論客だったのよ)。

そうじゃねえだろ。

そもそも《口では貧困家庭の子どもには優しい》という“東大の先生”(って誰よ。この御仁の過去の発言から考えて本田由紀氏かね?)が子供の貧困の解決のためにやるべきことは貧困層の子供を東大に入れるように問題をやさしくすることではない。貧困層の子供にも十分な教育が受け入れられるように権利を保証する(もしくはそれを実現するように政府や市民などに働きかる)ことだ。そもそも入試における選抜と子供の権利の保証という全く別の問題を並立して「エリートの欺瞞」云々を語ることそれ自体が欺瞞なんだよ。

こういう口では「口では貧困家庭の子どもには優しい東大の先生」よりも貧困家庭の子供に優しいライターがやるべきことはこういう欺瞞的な難癖ではないということは火を見るよりも明らかだ。

【雑記】”ゲンロン”の男らしさ(2021.01.05)

最近折に触れて思い出すのが小田嶋隆の下記のような指摘である。

 

 個人的に「令和の○○」みたいな思考を元号に従属させるような表現はあまり好まないのだが、その点を除けばこの指摘は極めて傾聴に値するものである。政治や社会の状況が行き詰まっていたり、差別が根強く存在する現状において、そのような状況よりもむしろそういった現状に対して声を上げる人たちを嗤うというものだ。そういった人たちは発言の内容とその背景にある社会の状況ではなく、発言者の「態度」や個人的な状況(職業など)を指して主張を無効化しようとする。そしてそういった態度を「男らしい」と誤解している人が多い(そういった態度をとるのは多くの場合が男性だ)。

 

そういった態度を、最近はかつて私がよく絶賛していたジャーナリストの石戸諭に見る。例えば、1月4日に投稿されて、多くの批判(そして政権批判系の人たちからの驚きの声――「この人こんなことを言う人だったのか!?」という)が起ったツイートである。

そもそもリベラルとリバタリアンの区別がついていない、また我が国において「リベラル」と称される側は「自粛と補償はセット」をスローガンに「私権制限するなら十分に補償をしろ」と主張してきた。《緊急事態宣言を出せ、出せと言っていた》というのは極めて一面的なカリカチュアライズに過ぎない。まさか今になってかつて古市憲寿が言っていたような世迷い言を見られるとは思ってもいなかった。

そして極めつけがこちらの発言である。

 

 

 

 何が《(ボソっ)》か!

そもそもこのツイートは、かつて毎日新聞やバズフィードで科学的、専門的な立場を重視して読み応えのある記事を書いていた石戸自身に向けているのだろうか。それはさておくとしても、いくら言いつくろっても、3番目のツイート(私は既にブロックしているユーザーであった)に4番目のツイートのような態度を示したことが、石戸の言うことの「底」を示している。要は単純な当事者主義にを装った左派嘲笑であるということだ。

こういう態度を示す人間にとっては、実家に暮らし賃労働をしながら片手間で評論系同人サークルを運営する私のような人間の物言いなど鴻毛の如きものであろうことを承知で言うが、社会に対して発言する人間の「態度」や職業などの個人的な要素をあげつらうのはただの左派嘲笑でしかないということである。「冷静さ」「偏狭な左派とは違い右派にも人脈がある自分」という2000年代的な、もっと言うと”ゲンロン”的「男らしさ」こそが、かつて私が述べた「言論という麻薬」の正体なのだろう。

 

【お知らせ】喪中につき新年のご挨拶は失礼させていただきます

去る2020年4月11日、祖母 藤原秀が老衰のため94歳にて永眠いたしました。

ここに、本年中に賜りましたご厚情に深謝申しあげると共に、明年もご厚誼のほどよろしくお願いいたします。

2020年11月23日 同人サークル 後藤和智事務所OffLine 代表 後藤 和智

【雑記】「若者問題」の後ろで差別扇動者がほくそ笑む(2020.10.24)

本日昼にバズったこの日経新聞の記事ですが。

www.nikkei.com

私はこの記事に対してこのように反応した。

この手の「ネットで安直に右派言説に共感してしまう若者」という問題設定はたびたび新聞記事になる(今回は日経新聞だったが、体感としては朝日新聞が多い)。今月もすでにこの手の記事がバズって、そしてそれに対して私は批判していた。

note.com

冒頭で採り上げた日経の記事にも、ここで採り上げた朝日の記事のような認識が出てきている。

入試や就職活動でコミュニケーション力や「多様性」といった価値観を求められる今の学生世代。成蹊大の野口雅弘教授(政治思想)は「最近の学生は人への優しさや寛容を重視するあまり、権力者の不正や戦争などにも理解を示そうとするのでは」と分析する。

東京外国語大の小野寺拓也講師(ドイツ現代史)は「皆で仲良くし、和を乱すべきではないと学んできた最近の大学生は『批判は良くない』と嫌う風潮がある」という。その上で「(安易に)白黒をつけるのではなく、考え続けることが大切。本音で議論できる場で、率直な意見を言い合う経験が必要だと伝えたい」と訴えている。

 この手の安直な世代論は、同様の記事で頻繁に出てくるものだ。すなわち、いまの若い世代は、コミュニケーション能力とかが重視される世の中で「批判すること」「他人を傷つけること」を嫌い、安直にああいった「いい話」に乗ってしまうというものである。そういえば同様のことを書いたとされる『やさしさの精神病理』(大平健、岩波新書)が1995年だったか。

 まずそういった議論は、世代論、若者論として少なくとも平成以降ほぼ一貫して語られてきたものであり、いまの若い世代特有の病理として採り上げることはさすがに無理があるというものをまずは理解した方がいい。

第二に、そもそもああいった「戦争には「いい側面」もあった」などという物言いは、右派論壇の常套句であり、いわば「紙ペラ1枚で”反論”してみせる」という意味では右派論壇が一貫して行ってきた手法であって、「ネット」「SNS」特有の問題ではないということである。この手法については、倉橋耕平『歴史修正主義サブカルチャー』(青土社、2018年)を参照されたい。

 右派扇動ないし排外主義の担い手としての「若者」という枠組みを用いる手法は、香山リカ『ぷちナショナリズム症候群』(中公新書ラクレ、2002年)が象徴するように、2000年代においてよく見られた手法である。しかしそれらの議論は単純な世代論を超えるものではない。しかし単純な世代論を超えるものではない故に人口に膾炙しやすかったのも事実である。これによって左派は「けしからん若者」の一類型として「右傾化する若者」という像にすがり(それ故、荷宮和子『バリバリのハト派』(晶文社、2004年)をはじめとする諸著作などのようにただの若者嫌いを表明しているだけのものが「リベラル」として出版されたり、受け入れられたりしてしまう)、また「若者の味方(ないし見方)」をとると僭称する論客は左派がそういった無根拠な決めつけを行っていると攻撃したり、あるいは「左派」を「既得権益者」として攻撃する口実にしてしまっている。

そういった構図で得をするのは、間違いなくいまや政権の中心を構成するまでになっている正論文化人的なものであり、あるいは差別主義者、歴史修正主義者である。

このことは、この記事に登場する小野寺拓也氏の次のような「補足」でむしろ懸念がさらに深まってしまう。

 あくまでも記事中で採り上げられている一コメンテーターである小野寺氏に言っても仕方のないことではあるが、じゃあそれこそなんで「若者」を採り上げたんすか、ということである。「若者」は「問題化」しやすく、そして話も広がりやすい、という以上のものが、果たしてあるのだろうか。「若者の心」を問題化することによって隠される、批判を免れるものの存在について、もう一度考えてほしいものである。「若者の心」を問題の枠組みとして採用するのを意図的に排除するくらいでないと、不毛な議論は繰り返される。

前も同じようなことを書いていたのでこちらも参照。

kazugoto.hatenablog.com

【声明】菅義偉政権による日本学術会議への介入に反対し、理由の説明を強く求める【2020.10.07追記あり】

this.kiji.is

this.kiji.is

this.kiji.is

www.asahi.com

上記の報道にある通り、「日本学術会議」の会員候補者の内6名が推薦されたが任命されなかったという件について、このような政治による学術及び学問の自由、表現の自由への介入に断乎として反対し、その理由を説明を学術系同人サークルとして強く求める。

今回任命されなかった人は、法学者(特に前の安倍晋三政権の動向に警戒している人もいる)を中心に、それ以外の分野でもリベラル系と見られる政治学の宇野重視や、歴史学加藤陽子といった一般にも著名な学者もいる。

朝日新聞の記事によると、推薦した候補者が任命されなかったというのは初めてのことで、その上任命を拒否された人物がこのように政府に批判的か、もしくはリベラル的な動向を持っている人物に集中しており、まさに政府による学術への介入であり、また異例の措置であることから理由の説明を強く求めなければならない。

なお、国会図書館の雑誌記事データベースで「加藤陽子」と検索すると、自民党系の雑誌『テーミス』2014年10月号に「朝日新聞が重用する 東大教授―御厨貴&加藤陽子への「疑問」 : 反原発集団的自衛権の行使反対に近現代史の専門学者が発言しているが」なる記事を見かけたことを付言しておく( https://iss.ndl.go.jp/books/R000000004-I025796956-00 )。

同人サークル 後藤和智事務所OffLine 代表 後藤和智

【2020.10.07 22:30ころ追記】

その後の朝日新聞の報道によれば、前の安倍晋三政権の頃から日本学術会議に対する官邸の介入があったとされる。

digital.asahi.com

digital.asahi.com

特に前者の記事については、学術会議や当時の山極寿一会長が官邸に話を通さなかったからで自業自得だ、さらには任命拒否された学者と『しんぶん赤旗』による陰謀だという言説が湧き上がっているが、そもそもの発端は2016年に当時の大西隆会長が欠員補充について官邸に唐突に(2014年まではなかったとのことである)難色を示されたことであることが明らかになったもので、少なくとも大西体制下の学術会議と首相官邸がそういった異常事態に「適応」していったものであると見られる。10月3日の記事には、

また、補充人事で1ポストにつき2人を事前に示す方法について、別の元幹部は「ある時期からそうなっていた。この時の補充人事より前は上位に推した人を正式に推薦し任命されていたはずなので、官邸側に『選んでいる』形を取らせるためのやむを得ない『妥協』だと思っていたが、その後、今回の(6人を任命しない)問題が起きた。甘い判断だったと悔やんでいる」と話す。

とある。その点(官邸による介入を許してしまったこと)で学術会議側の甘さへの批判は避けられないが、恣意的な任命拒否の問題というものは消えていないし、ましてやなし崩し的に「学術会議の改革」を述べることはそれこそ議論のすり替えに他ならない。

さらに、一部マスメディアによるデマ扇動も行われている。

mainichi.jp

www.buzzfeed.com

www.huffingtonpost.jp

以上の点を踏まえて、改めて弊サークルは、今回の菅義偉政権、そして前の安倍晋三政権による日本学術会議への介入に強く反対する。

【リリース】後藤和智事務所OffLine コミックマーケット97&おもしろ同人誌バザール大崎 出展情報

コミックマーケット97

3日目南4ホール

「ヘ」ブロック39b

後藤和智事務所OffLine

Webカタログ:https://webcatalog.circle.ms/Circle/14821374

【お品書き】

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また、後藤和智事務所OffLineは、コミケと同期間にJR大崎駅前で開催される「おもしろ同人誌バザール大崎8」にも出展します(フリースペース=早い者勝ちのため配置番号は当日まで未定)。

 

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新刊

Book Analysis Maniax――読取革命, Excel VBA, KH Coderを用いたDIYでの書籍の計量テキスト分析

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kazugoto.hatenablog.com

【C97新刊】『Book Analysis Maniax』www.pixiv.net

月刊テキストマイニングレポート総集編第2集 続・ツイッターにおける女性差別に関する考察

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kazugoto.hatenablog.com

【C97新刊】『月刊テキストマイニングレポート総集編第2集』www.pixiv.net