後藤和智事務所OffLine サークルブログ

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【ツイート転載】三浦展氏がやるべきこと(2016.11.21)

 三浦展『第四の消費』(朝日新書、2012年)。内容としては消費社会の歴史を振り返りつつ、いまの若者の消費スタイルを新しい消費の形として肯定、礼讃する俗流若者擁護論に至る本なんだけど、はっきり言ってやることが違うだろう。三浦がやらなければいけないのは、2000年代半ばの自身の言説を省察し、その時の若者論が消費社会のイメージ形成にどのように作用したかということだ。実際この本では三浦が売り出すきっかけとなった『ファスト風土化する日本』や『下流社会』、そして関連する若者論についてはデータとかで軽く触れられている程度で、というか消費社会の歴史に関してすら90年代が終わったらすぐ東日本大震災に飛ぶというもの。2000年代の「格差社会」論についても、1970・80年代にその萌芽が見られていたと述べる程度で、2000年代についてはかなりはしょられている。しかし三浦は2000年代はその時代の若者論の、トップランナーと言って差し支えない人物ではなかったのか。実際その後の「ヤンキー」論などにも三浦の言説は明らかに影響を与えているわけだから。

 ただ私は謝罪とかを求めているわけではないんです。というのも、三浦は『下流社会』で売り出していた当時、自分はマーケッターだからマーケティングとして予測しているのであり、バッシングを煽るような書き方をしている、ということを各所で認めていた。つまり三浦は当時、若者叩きが「売れる」ということを知っていて、その上でやっていた。その点を認めているという点では、ただ若い世代が憎いとか、不安を投影しているだけのような憂国ライターとは一線を画す。それ故、ある意味三浦こそが当時の若者論を総括できる、かなり重要な人材と言うことができる。

 いまはシェアエコノミーとかの擁護、礼讃に熱を上げている三浦だけど、そのうちかつての自分の言説と向き合わざるを得ないときが来るかもしれない。その日を待たずにはいられないのである。