後藤和智事務所OffLine サークルブログ

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【雑記】フェミニズム陰謀論の基盤(2021.07.20)

性暴力・性犯罪に甘い判決に異議を唱える運動である「フラワーデモ」の一部団体が、立憲民主党に対して、同党の本多平直議員の発言について、その発言が同党及び旧立憲民主党の性交同意年齢に対する立場から出た構造的なものであり、ワーキングチームの座長に対して党要職の自認を求める意見書を出した。

 で、これに対する反応のひとつ。

 

 こういった認識には驚いた。この文章とツイートを読むだけでは《本気で山花さんまで潰しに来てる》とまでは言えないし、それに《私たちだけが正しい、どんなに筋が通っていても反対の論陣を組む奴は駆逐すべし、という姿勢》などというのも悪意を持った解釈ではないか。

そもそも「申し入れ書を提出し、面談を求める」という行為ならいろいろな団体が行っていることだし、それに引用されている山花郁夫議員の文章においては、問題になった本多議員の発言と同じようなことが書かれており、立場を問い質すという趣旨ならこのフラワーデモの申し入れ書は妥当なものだ。

このように、「本気で潰しにくる」とか《私たちだけが正しい、どんなに筋が通っていても反対の論陣を組む奴は駆逐すべし、という姿勢》などという決めつけは、ジェンダー平等の観点からの表象(なかんずくアニメや漫画などに関連するようなもの)への批判を「表現規制」「言論弾圧」と騒ぎ立てる表現規制反対派ムラの行動と相似である。

私も現在進行形で流されているデマである「コミケ破壊N人衆」というものでは、私ほか数名がコミケを潰すためにフェミニズムLGBT運動を先導しているということが語られている。少なくとも私は次のコミケにもサークル参加を申請しており今後も参加する予定なので潰すメリットはないし、それに私が人権団体を扇動できる力があったら何より売上を伸ばすことに使っているよ!ちなみにそのデマを流しているのは、かつて私の読者で、また私の記憶が正しければ日本共産党を支持している。また、フラワーデモに対して先のような決めつけを行った人も右派ではない。

このようなフェミニズム陰謀論的な考え方は左派・リベラル派にもよく見られるものだ。これについては論壇における男性中心主義的なコミュニケーションが背景にある。これについては最近次のような小文を発表した。

gendai.ismedia.jp

wezz-y.com

wezz-y.com

この中で採り上げた中には、決して右派とは言えない論客の発言も少なからず含まれている。「wezzy」の記事の中で採り上げた、SEALDsのメンバーにおけるジェンダー観に対するフェミニスト学者の批判を「襲撃」と喩える左派の物言いは典型である。

これらの文章を書く上でベースのひとつとした、私も賛同しているオープンレター「女性差別的な文化を脱するために」( https://sites.google.com/view/againstm/home )には次のように書かれている。

日本語圏では以前から、ツイッターを中心にSNSやブログにおいて、性差別に反対する女性の発言を戯画化し揶揄すると同時に、男性のほうこそ被害者であると反発するためのコミュニケーション様式が見られました。たとえば性差別的な表現に対する女性たちからの批判を「お気持ち」と揶揄するのはその典型です。今回明らかになった呉座氏の発言も、大なり小なりそうしたコミュニケーション様式の影響を受けていたと考えられます。そこでは、差別をめぐる問題提起や議論が容易にからかいの対象となるばかりでなく、場合によっては特定の女性個人に対する攻撃までおこなわれる一方で、自分たちこそが被害者であるという認識によってそうした振る舞いが正当化され、そうした問題点を認識することが難しくなります。これにより、差別的な言動へのハードルが極めて低くなってしまうという特徴があるのです。

今回のようなフラワーデモの申し入れのほか、ネット上で「過激なフェミニスト」(大抵のフェミニストがこう呼ばれる)として言われている人が意見しただけでも「襲撃」や「弾圧」などと騒ぎ立てられるという光景は、右派(多くの場合中立を自称する)にも左派にも、主として男性において見られており、それが議論を難しくしている。そのような現状をまず考えるべきではないか?

なお、私は冒頭のフラワーデモの申し入れ書を支持する立場である。