後藤和智事務所OffLine サークルブログ

同人サークル「後藤和智事務所OffLine」のサークル情報に関するブログです。旧ブログはこちら。> http://ameblo.jp/kazutomogoto/

【リリース】後藤和智事務所OffLine コミックマーケット92参加情報

コミックマーケット92

3日目(13日)東2ホール「S」ブロック24b

後藤和智事務所OffLine

Webカタログ:https://webcatalog.circle.ms/Circle/13303329/

場所:東京ビッグサイト

 ゆりかもめ「国際展示場正門」駅直結

 東京臨海高速鉄道りんかい線「国際展示場」駅徒歩3分程度

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お品書き:

f:id:kgotolibrary:20170803021611p:plain

新刊:

『Bayes Analysis Maniax――フリーソフトで始めるベイズ統計解析』(評論)

kazugoto.hatenablog.com

 委託…

 メロンブックスhttps://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=270228

 とらのあな

http://www.toranoana.jp/mailorder/article/04/0030/55/81/040030558189.html

 COMIC ZINでも取り扱います。

『普及版 「劣化言説の時代」のメディアと論客――平成日本若者論史Special』(評論)

kazugoto.hatenablog.com

 委託…

 メロンブックス(専売):https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=232582

コミケ初頒布本

鍵山雛の損害保険数学基礎講座』(東方Project

kazugoto.hatenablog.com

『東方人気投票コメント統計――計量テキスト分析で見る「愛され方」の研究』(東方Project

kazugoto.hatenablog.com

好評既刊

『間違いだらけの論客選び――2010年代「日本社会論」の計量テキスト分析』(評論)

kazugoto.hatenablog.com

【その他の8・9月のイベント参加情報】

8/6 ぷち響灯小町祭@いち 「A」ブロック07・08

www.kyotokomachi.net

場所:秋田県JAビル(秋田県秋田市

 JR各線「秋田」駅前2・3番バス停から秋田中央交通バス「山王交番前」下車徒歩2分

 秋田自動車道「秋田中央」インターチェンジから車で20分程度

※当日、秋田市街地は竿灯祭りの影響で混雑が予想されます。

8/20 ガタケット153

https://gataket.com/index.html

場所:新潟市産業振興センター(新潟県新潟市中央区

 JR各線「新潟」駅前1・6・7番バス停から新潟交通バス「産業振興センター前」下車徒歩2分

 磐越自動車道「新潟中央」インターチェンジまたは日本海沿岸東北自動車道「新潟亀田」インターチェンジから車で20分程度

8/27 仙台コミケ239

www.youyou.co.jp

場所:仙台国際センター宮城県仙台市青葉区

 仙台市地下鉄東西線「国際センター」駅直結

9/18 第132季 文々。新聞友の会(東方Project射命丸文オンリーイベント):委託参加

https://bunbunmaru-np.com/

場所:京都パルスプラザ(京都府京都市伏見区

 近鉄京都線京都市営地下鉄烏丸線「竹田」駅より徒歩15分程度、または同駅から京都市バス京阪バス「パルスプラザ前」下車すぐ

9/24 フットバーしま~す!4(「ステーションメモリーズ!(駅メモ!)」オンリーイベント

http://ketto.com/fb/

場所:大田区産業プラザPiO(東京都大田区

 京急本線・空港線京急蒲田」駅から徒歩3分程度

9/30 諏訪神秋祭(東方Projet「東方風神録オンリーイベント

http://jinsyusai.com/index.html

場所:ララオカヤ(長野県岡谷市

 JR中央本線「岡谷」駅直結

 

【災害対応】

 7月に発生した福岡県・大分県秋田県豪雨災害に被害に遭われた方にお見舞い申し上げると共に、被災地の一日も早い復旧・復興をお祈りしております。後藤和智事務所OffLineでは、「楽天クラッチ募金」を通じて5,000円を寄付したほか、8月中のイベントの売上の一部を義援金として日本赤十字社に寄付いたします。

 「ぷち響灯小町祭@いち」:秋田県支部15%

 「みちのくコミティア3(終了)」「コミックマーケット92」「ガタケット153」「仙台コミケ239」:福岡県支部大分県支部秋田県支部各2.5%

 いずれも端数切り上げ

【C92新刊】Bayes Analysis Maniax――フリーソフトで始めるベイズ統計解析

 書名:Bayes Analysis Maniax――フリーソフトで始めるベイズ統計解析
 発行日:2017(平成29)年8月13日(コミックマーケット92)
 著者:後藤和智後藤和智事務所OffLine http://www45.atwiki.jp/kazugoto/
 サイズ:A5
 ページ数:56ページ
 価格:即売会…800円、書店:1,000円(税抜き)
 通販取扱:なし
 国立国会図書館登録情報:納本予定なし
 サンプル:

www.pixiv.net

 通販取扱:
  メロンブックス https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=270228
  とらのあな http://www.toranoana.jp/mailorder/article/04/0030/55/81/040030558189.html
  COMIC ZIN 委託予定

 【目次】

 0.1 まえがき

第1章 理論編:ベイズ統計学の基礎
 1.1 はじめに
 1.2 ベイズの定理
 1.3 事前確率の設定と理由不十分の原則
 1.4 確率の更新

第2章 Rによるベイズ統計解析の基本
 2.1 はじめに
 2.2 離散的な事前分布を用いる方法
 2.3 ベータ分布を用いる方法
 2.4 ヒストグラム事前分布を用いる方法

第3章 RStanによるベイズ統計解析
 3.1 はじめに
 3.2 RStan のインストール
  3.2.1 Rtools をインストールする
 3.3 RStanの基本と単回帰分析
 3.4 重回帰分析
 3.5 ロジスティック回帰分析
 3.6 階層モデル
 3.7 付録:RStan で使える分布(抄)

第4章 ベイジアンネットワーク
 4.1 はじめに
 4.2 下準備
 4.3 全ての組み合わせを描画する
 4.4 描画に制限を加える
 4.5 数字で示されるパラメータがある場合
 4.6 付録:各モデルの中身
  4.6.1 全ての組み合わせを描画したもの
  4.6.2 描画に制限を加えたもの
  4.6.3 数値データを加えたもの

第5章 KH Coderでのベイズ統計
 5.1 はじめに
 5.2 基本操作
 5.3 全ての文章の分類が既知の場合
 5.4 文章の中に分類が未知のものがある場合

 

【みちのくコミティア3新刊】月刊テキストマイニングレポートVol.3

【書誌データ】
 書名:月刊テキストマイニングレポートVol.3 ヤンキー虚妄に吠える:義家弘介・文部科学副大臣の計量テキスト分析
 発行日:2017(平成29)年7月16日(みちのくコミティア3)
 著者:後藤和智後藤和智事務所OffLine http://www45.atwiki.jp/kazugoto/
 サイズ:A5
 ページ数:20ページ
 価格:即売会…300円
 通販取扱:なし
 国立国会図書館登録情報:納本予定なし
 サンプル:

www.pixiv.net

 電子書籍Kindle(予定)

 【目次】
 0. はじめに
 1. 分析の概要と全体像
 2. 多次元尺度構成法による単語のカテゴリー分け
 3. 共起ネットワーク
 4. N-gram

 

【寄稿】『現代ニッポン論壇事情 社会批評の30年史』書評(評:嘉島安次郎)

 【ブログ主から】

 この書評は、2017年6月に、同人サークル「幻想郷交通公社」代表・嘉島安次郎氏(@TAG_shiyo)が行ったツイートをご本人が編集したものを、ご本人の許可を得て転載しております。

―――――

嘉島安次郎 書評 北田暁大栗原裕一郎後藤和智『現代ニッポン論壇事情 社会批評の30年史』2017,イースト・プレスイースト新書】

 

 本書は、本邦の「論壇」「批評」といったものを、バックグラウンドの異なる前掲三者の鼎談によって概観を示そうというものである。概説として1990年以降の約30年間にどのような形で社会批評が変遷を遂げたか、こと「若者論」のようにある一部分を以て社会を語る行為に重きが置かれていると読めた。本書は例えば若者論のバッシングから擁護への変遷、その発言者の変容、或いは経済学への素養、そして「若者論」の対象から外されてしまったものたち、本書では「ロスジェネ」とされる層、またその層に対する過去のバッシングを行ったものの態度、過去の言説が現在どのように連続しているかというものを見るという点では勉強になるものであった。

 尤も鼎談の書き起こしであるゆえ注釈は入れられているものの、内容が多岐に亘ることから各言説や人物の連続性や関係性は、特にこのような批評言説に普段馴染みのない人間にとっては相関図や年譜等の補助の必要を感じ、また後述するところではあるが、「左派」「リベラル」等の語の定義においては厳密性を欠くきらいがあるのは否めない。また、著名において「史」を名乗るにあたっては史資料の提示や解釈において十分といえるかというところがあり、本書の内容であれば例えば『日本の論壇を振り返る 世代の異なる三者鼎談より』というように主観性の強いところをある程度掲示する必要があったのではないかとも考える。

 ここからは嘉島の経験に即した本書の感想を述べたい。本書の帯で「日本の左派は【経済】の話ができない」という文言が入っているのだが、嘉島自身は旧帝法学部に在籍しマルクス経済学者が中心となって立ち上げた運輸系学会に軸足を置き、或いは労組出身で民主党(当時)所属の福岡市議会議員の勉強会に顔を出すなど、客観的に言って「左派」と呼ばれることに異存はない来歴を持つ。ところが、本書で揚げられている経済より文化思想を至上とする「左派」とも、ネット上で見かけられる「サヨク」「リベラル」なる存在とも、少なくとも自身では属を一にさせることはできない。このことが、本書で触れられている「左派」並びに「社会批評」のある特徴を表しているのではないかと考える。また「左派」「リベラル」なる概念が相当に曖昧な定義のまま、最悪の場合「反体制」どころか「自身の感情を害するもの」といった程度で使用されているという例すらある(本書においては後藤氏が述べられている)ことは、現状の日本社会において決して良いとはいえないことであり、何を以て「左派」「リベラル」とするかというところの再定義は急務である。

 話を戻すと、自分が「左派」として携わっていたのは運輸の低密度線区存続・利用促進支援という「中間共同体レベルでの改良」であり、本書では政治団体としてはともかく、実際の社会改良運動の団体として言及されるものは極小である部分においてであった。ここ批評言説の大きな流れの特徴があるのではないかと考える。つまり、批評言説の対象が「個人」と「国家(包括的な上位構造)」を主に対象としてしまい、その中間の身近なところへの関心を、特に改良の手段として重きを置かなかったのではないか、という印象を持った。左派よりの人脈の地方活性化の現場には、ほとんど同著に挙げられる批評言説が流れてこなかったというのを10年ほど前に記憶していて、地道な社会改良の現場とこういった言論空間との断絶というのは同書でも指摘されていたが少なからずあるというのは私感である。同書内に「現状文化左派の芸術系の文脈では『反アベ』が標準」なる記述があったが、同じく「左派」でも自分が属している運輸系は安倍政権に対しては個別に是々非々で、それ以上に下野前の運輸規制緩和に対する批判が強い特徴があるなど、そういった面でも断絶を感じる。

 以上は嘉島の個人的な体験からの感想ではあるが、嘉島が「左派」であることを鑑みて、中立的な事例との関連というものを少し触れておきたい。NPO法人「YouthCreate」の取り組みである。同団体は、代表原田が大学在学中に国会議員と学生の交流の機会を設けたいという意志より学生団体「ivote」を結成し、政治と学生の架け橋としての諸活動を行っていたものが、原田の卒業により新たにNPO法人という形で、学生と政治の接点を作る活動を目的とする団体である。各地の学校に赴き政治参画について必要な資質を啓発する出前授業を積極的に取り組んでおり、また選挙権の18歳引き下げに向けての参考人招致・教材作成に携わるなどの活動を行ってきた。さて、批評言説というものは、こういった取り組みをどのように捉えてきたであろうか。イデオロギーにとらわれることなく、また一足飛びに多勢ではない身近なところから社会改良に向けての合意形成を試みる取り組みをどのように評価してきたであろうか。

 総括すると、これらの疑問より、本書の主題である批評言説の対象が、「個人」と「国家(包括的な上位構造)」を主に対象としてしまい、その中間の身近なところへの関心を、特に改良の手段として重きを置かなかったのではないか、という印象を持った。本書においてもロスジェネの救済策として国家レベル財政出動等での救済案はでてきても、相互扶助のための中間共同体を新たに興そうというものを並立させようという話になっていないのは、門外漢としては批評言説というもののウイークポイントに見えた。

 このように、本書は「何が語られてきたか」と同時に「何が語られてこなかったか」を考える提言としての機能も併せ持つと考える。今回の鼎談の三名の今後の活躍を祈念して書評を終わりたい。
 
 2017年7月5日 同人サークル 幻想郷交通公社 代表 嘉島安次郎
 
 参考
 NPO法人「YouthCreate」 http://youth-create.jp/

月刊テキストマイニングレポートVol.2(2017年6月29日号)

月刊テキストマイニングレポートVol.2(2017年6月29日号)

新型うつ病」のポリティクス1.5――新聞は「現代型/新型うつ病」をどう報じたか?

 

 先月から始まった新シリーズ「月間テキストマイニングレポート」ですが、あまりいいデータが集まらず(というか私が書籍のテキストデータ化を怠ったのが根本原因なのですが)今回はこのようなブログ記事となってしまったことをお許しください。さて、今回採り上げるのは、2000年代終わりから若い世代に増えている「新しいタイプのうつ病」をめぐる言説です。

 旧来のうつ病が、真面目な中高年がかかるものだというイメージだったのに対し、主に若い世代がかかり、非常に他罰的で、また「仕事を離れれば軽快するため、休職中に海外旅行に行ったりする」ということが報告され、このような若者の「病気」は病気ではない、というバッシングが少なからず起こりました。これについては私の同人誌『「新型うつ病」のポリティクス』にまとめているのでよろしければご覧ください(『「劣化言説の時代」のメディアと論客』にも全文収録しています――夏コミにて普及版刊行予定)。

 

 今回は将来的にその続編を書くに当たっての予備調査として、新聞がこの「若者の新しいタイプのうつ病」についてどのように報じたかと言うことをテキストマイニングを用いて見ていこうかと思います。

 ちなみにメディア全体で見ると、「現代型/新型うつ病」の「ブーム」は2回来ていて、1回目が2007~8年頃、香山リカが『仕事中だけ《うつ病》になる人たち――30代うつ、甘えと自己愛の心理分析』(講談社、2007年)や、『「私はうつ」と言いたがる人たち』(PHP新書、2008年)のように、主に香山リカによってバッシングが煽られた時期、2回目がNHKの「NHKスペシャル」で「職場を襲う「新型うつ」」が放送されたときと考えられます。

 「現代型うつ病」「新型うつ病」を報じた記事について、@niftyの新聞記事検索サービスを使用し、2000年代以降について検索してみたところ、代表的なものとして次の記事を分析することにしました(検索ワードは「現代 AND うつ病」など。選択基準は500字以上)。

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 こうして見ると、「現代型/新型うつ病」について最初に詳しく報じられたのは2006年8月22日から27日にかけての朝日新聞の「患者を生きる」であることがわかります。しかしこれらの記事を読んでみると、「他罰的」「仕事のときだけ発症する」「薬が効かない」などといった特徴は描かれているものの、決してバッシングされているというわけではありません。

 朝日新聞というと、連載企画の「ニッポン人脈期」の中でも「100万人のうつ」というシリーズがあり、その中で第1階のタイトルが「一丁上がり、増殖する病」というバッシングを煽るようなものになっています。

 

 まじめな人がなりやすく、なると自分を責める。こんなうつ病のイメージが変わろうとしている。「新型うつ病」の増殖を著書で紹介した大阪の精神科医片田珠美(かただたまみ)(50)が典型例を教えてくれた。

 一流企業に勤める20代後半の女性。黒のパンツスーツで診察室に現れた。しんどそうだった。問いかけると一転、冗舌になる。

 「異動を言い渡されたが、私に合わない」「上司は自分を理解してくれない」

 15分ほど一方的にしゃべり続ける。従来型のうつ病では、こういうことはあまりない。ただ、気分の落ち込みといった症状はあったから、とりあえず「うつ病」の診断書を出し、休職してもらった。

 6カ月の休職期間が終わろうとする頃、女性が診察を受けにきた。恋人と海外旅行に行ってきたという。そして、「うつから回復するには配置転換が必要と診断書に書いてほしい」。片田が断ると、怒り出した。「患者のために、できるだけのことをするのが医者でしょ」

 女性はそれまでほとんど挫折した経験がなかった。片田は言う。「『もっとできるはず』という自己愛が強く、うまくいかないと他人のせいにしたがる。この女性は、どちらかというと自己愛性人格障害に近い」

  「典型例」と書かれていますが、それがどこまで「典型」なのか、というのは、片田をはじめとする「新型うつ病」論客は説明しません――なぜなら医学的に定義されたものではないのですから。

 ただこのシリーズについても、バッシングを煽っているのはこの最初の片田の部分だけだったりします。というより、朝日新聞は、総じて「新型うつ病」論に批判的です。医学的に認められたものではない、単純に「甘え」と排除するのはおかしい、ということは論説記事で何回か主張しています。

 日本うつ病学会は、現時点ではっきりした分類や定義はできず、根拠のある治療法はない、という立場だ。最近まとめた「うつ病の治療指針」でも「マスコミ用語」「医学的知見の裏打ちはない」と記した。

 精神科医の間でも意見が分かれる。ただ、軽いうつ状態の患者が増えているのは事実で、本当に苦しんでいる人を、ひとくくりに「怠けているだけ」と批判してしまうのは問題だ。

 「(ニュースがわからん!)「新型うつ病」、最近よく聞くのう」2012年8月21日付朝日新聞、文は月舘彩子

  それどころか産経新聞でさえ、(全体としての記事数もそもそも少ないのですが)ここで採り上げる記事では表立ってバッシングしているわけではなく、偏見に基づく記事もありますが、それは『職場を襲う「新型うつ」』(文藝春秋、2013年)の宣伝記事くらいなのです(そのため除外した)。さらにそれどころか香山リカでさえ、毎日新聞の連載でたびたび「新型うつ病」を採り上げたことがありますが、表立ってバッシングを煽っているわけではないのは驚きました。

 つまり、「現代型/新型うつ病」は新聞で積極的に報じられた類のものとは言えないのです。中心となっている言説は、テレビ、週刊誌、そして新書を中心とする書籍なのです。この点は踏まえておく必要があるでしょう。

 とはいえこれで分析する意義が消えたわけではなく、新聞の記事の論説を一つの基準として分析してみようかと思います。使用したのはカスタマイズしていないMeCabです。最初にKH Coderを用いて、時期ごとに区分を決めてそれを元に対応分析を行いました。区分としたのは、対象の「患者を生きる」が連載された2006年(1期)、第1次ブームの2009~2011年(2期)、第2次ブームの2012年以降です(3期)。プロットと数値は次の通りです(単語の出現数10以上)。

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 第1主成分の負方向が、2006年の当該「患者を生きる」において特徴的な単語と言え、それは主に治療法に関する単語であると言えます。また第2期と第3期の特徴は第2主成分に現れており、負方向が第2期、正方向が第3期ですが、第2期においては概ね労働問題として新聞では語られていたのに対し、第3期では依存症の問題として語られている傾向が強いと言えます。

 次にこれらの記事における「現代型/新型うつ病」、そしてその当事者である若者はどのように描写されているのかを、N-gramを用いて見てみることにしました。N=10のN-gramを作成すると、次のようなものが観測されました(観測数は全て1)。

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 これらは概ね「現代型/新型うつ病」に関するイメージを表していると思われます。

 

 参考資料――井出草平

ides.hatenablog.com

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 ※次回は『ヤンキー虚空に吠える――義家弘介・文部科学副大臣の計量テキスト分析』をお送りします。「みちのくコミティア3 創作旅行」での新刊を予定しております。

 

【ツイート転載】若者への差別を支えてきた「若者文化論」(2017.06.25)

kazugoto.hatenablog.com

の続き。

 

―――――

 なぜ一部のポピュラー社会学の支持者がいとも簡単に若者を差別するのかというと、若者論の世界にはいつ頃からか「通常の若者論は上澄みのエリートしか見ていない」という思い込みがあったというのが大きい。それに90年代以降の評論の「いかに本質を語っているか」ゲームの風潮が相俟って、一部の若者論の世界では〈莫迦な若者〉をポピュラー社会学の文脈で語れる人間が「知の最先端」としてもてはやされる風潮ができてしまった。その言説がいかに差別的なものであっても、ポピュラー社会学の消費者にとってはそのような知的優越感を満たしてくれることの方が重要だから、そういう言説が「批評」の世界でもてはやされる。

 2000年代終わり~現在の「ヤンキー」論はそういった差別構造に支えられている。そのあたりの反省がポピュラー社会学の消費者の間でなされないまま、現在に至っているため、ああいった言説が今でもまかり通る。

ポピュラー社会学の消費者にとっては、「自分は世の中の本質が見えている」ことだけが重要であり、その背景に潜む差別意識を批判されると「せっかく誰々が考える機会を与えてくれたのに邪魔するな」ということになる。「世の中を考えている自分」がかわいいだけの人間が世の中を語らないで欲しい。

 

 「評論の読者」がほめそやす「多様性」というのは、自分が着飾ることができる言説・思想がたくさんあるということであって、彼らが一番恐れているのは「王様は裸だ」という指摘。というか「評論の読者」ってこの10年でまったく変わっていない。以前『おまえが若者を語るな!』を出したときも「お前の若者論を語れ」と言われたものだ。若者論の非科学性を批判する言説への対応ではないだろう。

―――――

若者の階層化をめぐる一部左派の言説について。

 若い世代の「格差」「階層化」は、比較的早く左派に認知されていました。1990年代終わり~2000年代初めにかけてそれらを扱った新書などがブームになっていたのですが、一部左派はこれをどのように捉えたか。

 香山リカの『ぷちナショナリズム症候群』や荷宮和子の『声に出して読めないネット掲示板』のように、それは「階層化によって自分たちとは違う考え方や心性を持った若者が戦後社会を破壊する」というユースフォビアの言説で用いられたのです。このような「若者文化論」が、一部左派の劣化言説を支えてきました。さらに、玄田有史らの『ニート』のように、若者論においては労働経済的な視点よりも若者の心性やそれを生み出した消費社会、情報化社会を指摘する言説の方が受けがよかった。宮本みち子氏などの言説がそれほど広まらなかった背景には、このような「若者文化論」がある。若い世代をめぐる問題を語る言説は、このような「若者文化論」に長い間引っ張られてきたわけです。

 左派(そして一部の若手右派も)の若者叩きを支えてきたのがこの「若者文化論」です。いま求められているのは、若者に対する差別の一部を支えてきた「若者文化論」の相対化なのです。

 

【ツイート転載】いまだ残る「底辺」への差別的なまなざし(2017.06.24)

 

anond.hatelabo.jp

 

甲山太郎=甲虫太郎=社虫太郎氏に「素晴らしい若者論」として勧められたこの記事ですが、はっきり言ってどこが素晴らしい記事なのか分かりませんでした。ただの若者バッシングじゃないですか。

確かに元となった今井絵理子氏の「批判なき政治・選挙」という発言に危機感を持っているのは分かります。しかしこの記事のように、そのように「危ない発言をする若者」(今井氏は33歳ですから、確かにいまのネット論壇の主要な消費者層においては「若者」でしょう)が1人いることからそれが「いまの若者」のスタンダードだとされたらたまりません。第一、この記事には今井氏の発言を支持する若者の発言が一切引用されていない。ただ推測だけで若者、それも低学歴の若者のスタンダードだと決めつけられている。その差別構造に気付かないでいられるのは片腹痛い。

そのような差別意識は《学力・教養はかなりの底辺》《ああいう人は年齢のわりに若者文化に親和的》《底辺コミュニティやガキ向けコミュニティをある程度覗いていれば今の若者や子供達が「批判」という言葉をなんか変な風に使ってるのに気付けたはず》などという文言に現れていますが、どれも根拠はありません。というか一部の「ヤンキー」論が言う「ヤンキー文化=いまの「常民」の文化」をトレースしているだけではないでしょうか。

このような「底辺の若者」論がなぜ批判されるべきかというと、このような「底辺の若者」に対してはどのようなバッシングをしてもいいという意識が、いまのリベラル方面のネット言説に渦巻いているからです。2008年の『ケータイ小説的。』(速水健朗原書房)などに端を発する現代の「ヤンキー」論は、いままでオタクばかり語ってきた「批評」、新たに「ヤンキー」をフロンティアにしたものなのですが、それらの言説は若者及び地方都市・郊外文化への差別的なまなざしの上で成り立っている三浦展の「ファスト風土」論を受け継いでおり、オタクの自意識、被害者意識を満たすものにしかなりませんでした。そして冒頭で採り上げた記事はそのような若者論の系譜の延長上にあるものに過ぎません。

このような「批評」が今でものさばっていると言うことは、『現代ニッポン論壇事情』で述べたリベラル系の若者論の論客の現状にも合致します。劣化言説の時代においては「若者」を語れば思想の最前線にいられるという思い込みが蔓延しており、それがリベラル派においても若者バッシングを蔓延させる結果となりました。いま求められているのはそのような「批評」に対する総括です。いまの「論壇を振り返る」的な書籍や雑誌の特集に抜けているのは、このような若者論の系譜の検討です。いまこそ我が国の差別意識を根底において支えてきた若者論にメスを入れるべきときなのです。

 

ちなみに、甲山太郎という社会学者がいかに不誠実な人間であるかについては、下記の記事を。

 

kazugoto.hatenablog.com

あと、こちらのモーメントもお願いします。

twitter.com

 

 追記

 

 

 

 

 【さらに追記 2017.06.24】

 

とりあえず、自分にとって気に入らない政党の、比較的若い議員による発言が若い世代のある層の心性を代表していると決めつけるのは、それ自体が若い世代への差別的な視線の発露であり、控えた方がいいのではないかと思います。

小田嶋氏がこのあとの発言で「ヤンキー」論を引き合いに出しているとおり、「ヤンキー」論というのは「自分とは違う」層を勝手に(統計などを用いず)自分たちの「批評」的枠組みに恣意的に当てはめて、「自分たちはマイナーなんだ」という被害者意識に浸る以上のものではないのです。

詳しくは私の同人誌『「ヤンキー」論の奇妙な位相』(Kindlehttp://amzn.to/2tZtb9F  )を読んで欲しいのですが、そういった恣意性と、マーケティング化した若者論の危険性に気付かないままあのような議論をしてしまうのは問題なのです。

そもそも「若者が自分たちの気に入らない政治的流れに(意識的/無意識的に)荷担している」という言説は、2000年代初め頃からの香山リカなどにも見られましたが、結局それは左派による若者バッシングにしかなりませんでした。その愚を繰り返したくなければ、「若者」を引き合いに出すのはやめる。

 

 

【追記 2017.06.25】

続編書きました。

kazugoto.hatenablog.com