後藤和智事務所OffLine サークルブログ

同人サークル「後藤和智事務所OffLine」のサークル情報に関するブログです。旧ブログはこちら。> http://ameblo.jp/kazutomogoto/

【秋季例大祭2新刊】八雲紫の社会構築主義幻想――市民のための社会構築主義理論の基礎

【書誌データ】
 書名:八雲紫の社会構築主義幻想――市民のための社会構築主義理論の基礎
 発行日:2015(平成27)年10月18日(第2回博麗神社秋季例大祭
 著者:後藤和智後藤和智事務所OffLine http://www45.atwiki.jp/kazugoto/
 表紙:donjuan(シャレコーベ草原 http://blogs.yahoo.co.jp/bassclarinet12
 サイズ:A5
 ページ数:56ページ
 価格:即売会…800円、書店…1,000円(税抜)
 通販取扱:メロンブックス https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=141183

  とらのあな http://www.toranoana.jp/mailorder/article/04/0030/35/35/040030353546.html


 国立国会図書館登録情報:納本予定
 電子書籍メロンブックスDL(予定)
 サンプル:

www.pixiv.net


 備考:本書は同人サークル「上海アリス幻樂団」の作品「東方Project」シリーズの二次創作作品となります。そのためコミティアなどの二次創作作品の頒布が禁止されている即売会では頒布いたしません。
 登場人物:八雲紫博麗霊夢伊吹萃香、少名針妙丸、茨木華扇霧雨魔理沙

 

【目次】

少し長いまえがき

第1章 社会構築主義とは何か
 1.1 はじめに
 1.2 機能的アプローチと価値葛藤学派
 1.3 ラベリング理論
 1.4 社会構築主義とは何か

第2章 社会構築主義と統計

第3章 社会構築主義と青少年問題――研究の概観
 3.1 はじめに
 3.2 社会問題のレトリック分析
 3.3 「有害図書」問題と社会構築主義
 3.4 「ニート」問題と社会構築主義
 3.5 児童虐待と社会構築主義


おわりに


あとがき

 

【ツイート転載】山本昌で学ぶ若者論の歴史(H27.9.26)

山本氏の戦歴はWikipediaと下記のツイートを参考にしました。

 

1983年 山本昌広中日ドラゴンズにドラフト5位で指名される。

この年、中森明夫が『漫画ブリッコ』誌に連載コラム「「おたく」の研究」を寄稿。「おたく(族)/オタク」論の走りとなる。また同年、浅田彰の『構造と力』(勁草書房)が発売。

 

1984年 山本昌広中日ドラゴンズに入団。

この年、浅田彰の『逃走論』(筑摩書房)が発売。「スキゾ/パラノ」の対立基軸を打ち出し、「スキゾ」を礼讃するコラムが収録される。

 

1986年 山本昌広、一軍初登板。

同年、「新語・流行語大賞」に「新人類」が金賞として選出。受賞者は西武ライオンズ清原和博渡辺久信工藤公康の3選手。

 

1988年 山本昌広ロサンゼルス・ドジャース野球留学。また、同年の広島戦でプロ初勝利。

同年、野田正彰の『コンピュータ新人類の研究』が大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。また流行語大賞に「カイワレ族」と、青少年と情報のあり方が問われる。

 

1993年 山本昌広最多勝最優秀防御率のタイトルを獲得し、オフに年俸1億円を達成する。

同年、宮台真司を中心とした「ブルセラ論争」が論壇誌を沸かせる。

 

1994年 山本昌広沢村賞と2度目の最多勝に輝く。

同年、宮台真司『制服少女たちの選択』(講談社)が発売。

 

1996年 山本昌広、登録名を「山本昌」に変更。

このあたりから「援助交際」が話題になる。

 

1997年 山本昌、初の開幕投手最多奪三振、通算100勝、3度目の最多勝に輝く。

同年、神戸市連続児童殺傷事件(「酒鬼薔薇聖斗」事件)発生。このあたりから、青少年言説が劣化言説でまみれるようになる。

 

2000年 山本昌、2回目の開幕投手に選ばれる。

同年、豊川市主婦殺傷事件、西鉄バスジャック事件など「17歳の犯罪」が相次いで問題視される。

 

2004年 山本昌、年俸2億円に到達。

同年、玄田有史らによる『ニート』(幻冬舎)発売。若い世代の就労の問題が経済的な問題として捉えられつつあった流れが再び世代論に戻される走りとなる。

 

2006年 山本昌、通算2000奪三振ノーヒットノーランを達成。

この頃より、若い世代における貧困化が、「ニート」論への社会学者などにより反論として取り沙汰されるようになる。翌年、朝日新聞が連載「ロストジェネレーション」を掲載。

 

2008年 山本昌、通算200勝を達成。

この頃、『日本溶解論』(プレジデント社)をはじめとして三浦展による、マーケティング的価値観やバブル期の懐古主義による若者叩きの諸著作が話題となる。

 

2010年 山本昌、史上最年長完封勝利を達成。

この頃から三浦展が(俗流)若者擁護論に傾くようになる。

 

2014年 山本昌、史上最年長勝利を達成。

この頃から(正確には前年から)古市憲寿が1980年代半ば生まれの若者の〈代表者〉としてメディアで振る舞うようになる。

 

2015年 山本昌、現役引退を表明。

この頃、育鵬社の中学校公民教科書が「江戸しぐさ」「サムシング・グレート」などの怪しげな理論を掲載したことが話題となる。

【ツイート転載】リベラルの凋落なんかよりも劣化言説の勃興のほうがよっぽど重要でしょうが(H27.8.5)

AERA』の戦後70年特集で「朝生」にみるリベラル派の凋落、みたいなことが書いてあったけど、少なくともここ20年程度の言論の動向について考える のであれば1997年以降に勃興した〈劣化〉言説の影響は外せないと思うけどなぁ。リベラルの凋落とか云々とかよりもよっぽど深刻な問題だろう。

最初は青少年や子育ての〈劣化〉から始まり、自分が不可解、不快に思う社会集団に安直に「劣化」とか「バカ」とかいうレッテルが容易に貼られるようになっ た。『週刊朝日』においては「日本人の劣化」と称した事実上の若者論特集が組まれたし、『まれに見るバカ』なんて本も売れに売れたぞ。

『まれに見るバカ』だって事実上の若者論+団塊左翼バッシング本だし。でこれらの言論の流れは今や特定民族・社会集団へのヘイトスピーチの勃興となって結節しているわけで。でも〈劣化〉言説の学術的研究、総括なんて一部の社会学を除いてほとんど行われていない。

思想の左右なんかよりもよっぽど大きな問題だと思いますけどね、こういう劣化言説、なかんずく若者論をめぐるこの状況。

【リリース】後藤和智事務所OffLine コミックマーケット88参加情報

コミックマーケット88
東京ビッグサイト
1日目(8/14)
東1ホール「D」ブロック25a
後藤和智事務所OffLine

Webカタログ:https://webcatalog.circle.ms/Circle/11926035/

f:id:kgotolibrary:20150730065215j:plain

f:id:kgotolibrary:20150730065223j:plain

・新刊
天龍の空間統計学攻略作戦――市民のための空間統計学の基礎
表紙:悠飛あるふぁ(Lucky Chance!/3日目東「C」22b)

最近活躍できていないことを嘆く天龍は、夕張のアドバイスで空間をデータで見る能力を養うべく、夕張・霧島から空間統計学を学ぶ。空間的自己相関やクリギングなどといった空間統計学を解説する艦これの〈講座系二次創作〉です。鈴谷・熊野によるR言語解説もあります。
委託…
とらのあなhttp://www.toranoana.jp/mailorder/article/04/0030/32/72/040030327263.html
メロンブックスhttps://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=132747
COMIC ZIN(予定)

検証・格差論:2000年代の若年労働・経済言説を読み解く――平成日本若者論史Special2
「ニー ト」「雇用のミスマッチ」「キャリア教育」「シュガー社員」など、我が国の若年雇用や若い世代を取り巻く経済環境をめぐる言説を検証した『POSSE』連 載と、主に「ロスジェネ」系の言説を批判した電子書籍やブロマガの記事をまとめて同人誌化。2000年代~2010年代初頭の若者論の記録であると同時 に、ロスジェネ系言説への決別の書でもあります。
委託…
とらのあなhttp://www.toranoana.jp/mailorder/article/04/0030/32/33/040030323372.html
COMIC ZIN(予定)



コミケ初売り同人誌
アリスのキャンパスライフ論講座――市民のための現代高等教育論の基礎
表紙:あーねすと(あーねすとROOM/1日目東「タ」42b)

ア リスが魔理沙パチュリーのサポートを受け、スカーレット姉妹に現代の高等教育のあり方を解説する東方〈講座系二次創作〉。大学・大学生は多すぎるのか、 文系学部は不要なのか、などといった近年の高等教育をめぐるテーマについて、専門的な研究の観点から幅広く解説しております。アリスと紅魔館メンバーの絡 みを楽しみたい人も。
委託…
メロンブックスhttps://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=125402

 

「劣化言説の時代」のメディアと論客:言論と論客の「再帰性」をめぐって

日本社会や若い世代の「劣化」が言い立てられるメディア状況において、言論や「知識人」はどのような役割を果たしているのか。既刊同人誌による質的研究と、書き下ろしのテキストマイニングの2側面から探ります。「第10回河上肇賞」最終選考落選論文の同人誌化。

委託…

とらのあなhttp://www.toranoana.jp/mailorder/article/04/0030/31/08/040030310832.html

 

【ツイート転載】改めて振り返る古市『誰も戦争を教えてくれなかった』の問題点(H27.7.22)

おい。古市憲寿の『誰も戦争を教えてくれなかった』が文庫化に際して『誰も戦争を教えられない』になっているのはどういうことだ。少なくとも同書で語られているのは「戦争の当事者になれない自分」への陶酔でしかないんだが。

booklog.jp

 

艦これ」と絡めて古市を批判した記事でも書いたように、艦これとか、藤原帰一氏の扱うような映画とかをはじめ、戦争の「伝え方」は様々だし、その研究の仕方も様々。戦争の〈当事者〉ではない人が一概に「教えられない」などということはない。

ameblo.jp

 

徹底して主張していきたいけど、同書は古市の主導する〈現代の若者〉イメージを強化するための、古市の「自分語り」以外の何物でもないわけで、彼の語るような〈現代の若者〉イメージに我々が振り回される必要はどこにもない。いい加減ああいう世代論ビジネスはやめてほしい。

戦争博物館を数件巡って自分語りエッセイ書いた最終的な感想が「誰も戦争を教えられない」などという、戦争研究、歴史研究の意義を無視したものだとしたら怒りが有頂天ですよ。「誰も戦争を教えてくれなかった」よりも格段に酷い。

【ツイート転載】『文藝春秋』2015年8月号特集「戦後70年 崩壊する神話」のメディア論的意義について(H27.7.13)

というわけで今発売中の『文藝春秋』の特集「戦後70年 崩壊する神話」のレビューです。はっきり言って、まさに現代劣化言説の博物館と言っていい感じでした。あとテーマの選び方のバランス悪すぎ、例えば野球な んて4本くらいあったのにサッカーとか水泳とかゴルフとかテニスとかは一編もなし。理系分野も滅茶苦茶貧弱で、しかもほとんどが小出裕章近藤誠といった 問題点が数多く指摘されているものか「ものづくり」系ばかりであり、研究のあり方とかは一編もなし。教育関係とか複数編あるけどもっともっと貧弱で、全部 「~だと思う」の積み重ねだとか「権威」の無条件な肯定とかばかり。政治関係もほとんど同工異曲の「権威」肯定話。ほとんどが「何らかの〈権威〉が失われ た」というストーリーによって成り立っている。しかし今必要なのはその「権威」が何によって成立していたかという背景に関する分析ではないのだろうか。

こ の特集に通底しているものは、恐らく特定の社会階層、社会集団が「ある」と何となくふわーっと考えていた「権威」への憧憬であり、「崩壊する神話」という のはその「権威」が疑われることへの恐怖なのだと思う。そしてここにこそ、後期近代的な我が国のメディアのあり方を見ることができる。それは「他者」を否 定することにより自らのあり方、足元を確認することである。『天狗組のメディアの世界を覗く旅』や『「劣化言説の時代」のメディアと論客』でも述べたけ ど、我が国の今のメディアにおいては、他者の「劣化」を言い立てるその行為にこそ、不安定化したアイデンティティに対して「癒やし」を与えるというもので ある。劣化言説の果たしている役割とは、まさに他者をバッシングすることにより自らの立ち位置を再確認させることに他ならない。そういう現代のメディアの 役割を再確認させてくれることにこそ、この特集の存在意義があるのだと思います。

ついでに、韓国とか中国とかを 「劣化」した存在として叩くような記事もまた、「あいつらは自分たちとは違う」ということを読み手に認識させることによって不安定化したアイデンティティ に対して「癒やし」を与えるという点ではこの手の日本社会劣化言説と全く同じ役割を持っている。の『文春』の特集も、そして近隣諸国叩きも、ともすればあ る種の憎悪扇動(ヘイトスピーチ)も、読み手にはある種のエンターテインメントとして消費されているのだろう。しかしそれは他者への憎悪と排除を煽るとい う点では等しく〈右傾エンタメ〉として指弾されるべきではないか。何回でも言い続けるけど、艦これとか刀剣乱舞とかを「右傾エンタメ」と言っているのは本 当に素人の所業。他者の〈劣化〉を言い立てる言説にこそ真の〈右傾エンタメ〉がある。

学術ファンとして。この特集には本当に「学術」がありません。研究論文からの引用、統計データは皆無。故にその手の議論を期待する人は読まない方がいいです。むしろこの特集をメディアの歴史に位置づけてこそ「学術」の本領ではないかと。

野 球ファンとして。巨人だ長嶋だとかばかりこの特集は注目していますが、例えば近年の野球におけるデータの導入、パ・リーグの(実力的にもビジネス的にも) 躍進、大リーグでの選手の活躍、そしてWBCなど、野球ひとつ採り上げてもいいところもいっぱいあると思うのに、そこをなぜ採り上げない!

【ツイート転載】「新型うつ」論の起源に関する井出草平氏への回答(H27.7.9)

「新型うつ」論の起源に関する井出草平氏への回答(H27.7.9)

大阪大学講師の井出草平氏が「シノドス」に寄稿した記事「「新型うつ」は若者のわがままか?」(http://synodos.jp/society/14551/)をめぐって、井出氏から「〈新型うつ〉という言葉を最初に使ったのは誰か」という趣旨の質問を受けましたので、私なりの回答をしました。

―――――

個人的な観測ですが、香山リカだと思います。井出様が記事内で採り上げられていた『「私はうつ」と言いたがる人たち』以前に香山は『仕事中だけ「うつ病」になる人たち――30代うつ、甘えと自己愛の心理分析』(講談社、2007年)の中で今の〈新型うつ〉とだいたい同じ意味で「30代うつ」という表現を使っていますが、この「30代うつ」について「新しいタイプのうつ病」と表現していたのが後に「新型うつ」のような表現になったのではないかと考えております。

ついでですけど、『仕事中だけ「うつ病」になる人たち』及びその文庫版である『なぜあの人は、仕事中だけ「うつ」になるのか』については、本日Amazonを見たところどちらも絶版らしく、ただ文庫版のKindle版があるだけという体たらくです。同書は〈新型うつ〉概念を読み解く上で避けては通れない書籍であるはずなのに、です。また〈新型うつ〉概念に肯定的な論者の多くは香山のカの字も触れることはほとんどありません。ただ香山の言った「若い世代に新しいタイプのうつ病が増えている」というのが何となくふわーっと広がったのでしょう。連投失礼いたしました。